理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
このページでは訪問リハビリテーションを行ってくれる実際のスタッフを紹介したいと思います。
リハビリをサービスとして提供出来るのは決まった資格を有している人達のみです。
次の3資格になります。
- 理学療法士(Physical Therapist、略してPTと呼ばれます)
- 作業療法士(occupational therapist、略してOTと呼ばれます)、
- 言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist、略してSTと呼ばれます)
それぞれの違いに注目していきましょう。
(1)理学療法士
理学療法士が行うリハビリの目的は「人間の身体の基本的動作能力の回復」です。
つまり障害や後遺症のある「部位」に注目し、運動療法や物理療法、日常生活活動(ADL)といった手法を使用することで運動を主体に機能の回復を図っていきます。
麻痺などの後遺症を抱えて身体の自由を奪われた人に施すリハビリだけが注目されがちですが、実は、運動能力の発達が遅れている新生児に対しても介入出来る技術を持っています。
運動のみならず電気や温熱療法など様々な物理的療法を用いて、機能の回復を図る専門家です。
(2)作業療法士
作業療法士が行うリハビリの目的は「日常生活をスムーズに行うための能力の回復」です。
一般的には、理学療法士が回復させた身体機能を用いて、生活を行う上での必要な動作を可能としていきます。
一例を挙げてみると、夜中にトイレに行くことにしましょう
まず、暗いですから電気を点けたいですよね。
ベットや布団から起き上がります。立ち上がるか、這うかをします。
次に、電気がある所まで歩いていき、電気のスイッチを指で押します。
あるいはそれを省略してリモコンで点けます。
寝室のドアまで歩いていきます。
ドアノブに手を掛け、ドアを開けます。開けたままにしましょう。
次に廊下の電気を点けます。
そして、トイレの場所を確認して、トイレの電気を点けます。
トイレのドアノブに手を掛け、ドアを開けます。ドアを閉めます。
用をたすために、便器の蓋を開けるなど必要に応じて行います。
下衣を下げ、下着を下げます。
用を足します。
ひとまずここまでにしましょう。
もしかしたら抜けている過程があるかもしれませんが、私たちが意識せずに行っている日常生活は、全て何かの動作の連続です。
もしも身体に障害が残り、今までの様に自由に出来ない場合、どの動作のどこに問題があって、何をすればその問題がクリアできるのかは、この動作を一つ一つ分析していって初めて把握できることです。
作業療法士は、この動作能力を回復させるため、レクリエーションやゲーム、さらには調理を行ったり読書を行うなどの複合的な動作訓練を行うことで、機能的な復帰ではなくて社会的な復帰を図っていきます。
(3)言語聴覚士
言語聴覚士が行うリハビリの目的は「生活を豊かにする能力の回復」です。
リハビリ関係の資格の中では、1997年に制定された最も新しい分野です。
脳梗塞の後遺症であったり、生まれながらにしての先天性の疾患であったり、
- 言葉が話せない
- 話したくても声が出ない
- 言葉が聞こえない
などの疾患に悩まされている人は大勢います。
その様な症状に対し、何が原因で起こっているのか、どんな時にその症状が出るのかなど、まずは原因を明らかにし、それを解決していくための訓練プログラムを考えて実行したり、助言や指導を行ったりします。
また、高齢者の場合は、口に入った食べ物や飲み物を「飲込む」という動作に障害が出てくる(嚥下障害と呼びます)人が多くいますので、少しでも飲込む機能が残っているならそこにアプローチし、口から食べるという動物の基本的、生理的な欲求が満たされる様な訓練も行います。
医師だけではなく、歯科医師とも深い連携を保つことで、さらなる改善へのサービスを提供することができます。
前述した二つの資格者とは別に、食べたり話したりするという機能を回復させることで生活を豊かにしていくことができるという、この資格の目的はそこにあります。
リハビリが第一歩になる
上記3資格者が医師との連携を図り、介護が必要な方が自宅で生活する為の支援を行っていくのが訪問リハビリのサービスです。
ですから、「自分の抱えてしまった障害を他人に見られたくないから、外に出かけることは絶対したくない」という様な方にこのサービスを提供していくことで、最低限必要な機能訓練的なリハビリテーションを行うことができます。
さらに他人に自分の身体や障害を見られるということが必然的に発生する訳ですから「介護付き有料老人ホームなどへ入所して他の入所者や職員と共に生活していかなければならない環境に自分の身を置く」という生活環境の変化の礎が出来るとも言えます。
利用料について
費用については、一回の訪問リハビリテーションにつき「20分以上の指導を行って305円」です。
ただしこのサービスの介入には限度が設けられていて、最高で一週間に6日までしか訪問出来なくなっています。
ここまで、施設入所までの間に自宅で過ごさなければならなくなった人が利用できる「在宅サービス」のうち、自宅へ訪問してくれる「訪問サービス」を紹介してきました。
これに通所サービスを加えていくことで、かなりの状況の人であっても自宅での生活がおくれる様になります。
ただし、誰も同居の家族がいない場合には難しい面もありますが、そういった場合は市町村などの行政機関が力を入れて支援してくれるので少しは安心できます。
もしも自分が介護保険サービスを利用する立場になった時に、こういったことが判っていると、自分に合った本当のサービスを選ぶ基準にもなりますので、ぜひ何かしら覚えておくと良いと思います。