認知症ケア専門士の資格内容や合格率について

認知症ケア専門士と認知性介助士の違い

日本国内の認知症高齢者の数は2025年には700万人を超えると予測されていて、認知症介護従事者の需要は高まる一方です。

 

そんな状況の中で注目度が高まってきているのが認知症の専門家となれる資格です。

 

認知症関連の資格にはいくつか種類があって、

  • 認知症ケア専門士
  • 認知性介助士

などがあります。

 

このページでは各資格の紹介と違いについて解説していきます!

 

認知症の方をケアする資格

 

專門知識が身につく認知症ケア専門士

5年毎に更新のある専門性の高い民間資格で、今度のキャリアアップ等にも期待できる資格となっています。

 

認知症ケアの実務経験が3年以上必要なことから、認知症関連資格の中でも、

  • 最も取得難易度が高く
  • 一番価値のある資格

です。

 

取得方法 年1回ある試験を受験して取得

※1次と2次試験があります

受験資格 過去10年の間に認知症ケアの実務経験が3年以上あること

※介護福祉士などの国家資格の有無は問いません

試験を受ける時期 1次試験:7月頃

2次試験:11月頃

講座の受講期間 最短4日〜2ヶ月
費用 1万円〜3万円

※スクールによって異なります

 

(1)認知症ケア専門士ってどんな資格?
(2)試験について
(3)更新制の資格
(4)活躍の場面はさまざま

 

 

(1)認知症ケア専門士ってどんな資格?

認知症ケア専門士は、2005年に一般社団法人日本認知症ケア学会が主催してできた比較的新しい資格です。

 

ちなみに「民間資格」となっております。

 

認知症高齢者の数は2012年の時点で462万人と推計されていて、2025年には700万人を超えると予測されています。

 

取得するメリット

今後も認知症介護従事者の需要は一層高まっていく一方ですので、專門知識を持つ認知症ケア專門士の活躍がますます期待されています。

 

また介護福祉士やケアマネのようなメジャーな資格ではないので、人よりも先に取得することで認知症の専門家としての地位を深めておくことができます!

 

デメリット

国家資格ではなく民間資格であることを気にされる方が多いです。

 

介護福祉士を取得した後のように、特別手当や昇給にもつながらない事業所もあるので、モチベーションを上げる為には他の目的が必要になってきます。

 

また、下記にも書きますが「5年ごとの更新制」となっているので、一度取得したら終わりというわけにはいかず、知識のメンテナンスの為に時間と労力がかかる資格でもあります。

 

主催する一般社団法人日本認知症ケア学会は、認知症ケアに対する優れた学識と高度の技術、倫理観を備えた專門技術士を養成し、認知症ケア技術の向上ならびに保健、福祉に貢献することを目的されて設立されている団体です。

 

 

(2)試験について

試験は、1次試験と2次試験があり、1次に合格すると2次試験を受けられる流れになっています。

 

1次試験

1次試験の試験内容は4分野あります。

  1. 認知症ケアの基礎
  2. 認知症ケアの実際T:総論
  3. 認知症ケアの実際U:各論
  4. 認知症ケアにおける社会資源

 

1次試験の難易度は結構厳しく、1次試験の4分野すべてに合格しないと2次試験がうけられないことになっています。

 

1次試験の合格基準

各分野70%以上の正解率が必要となっているので、試験範囲を満遍なくカバーしていないと全ての分野でのクリアは難しいです。

 

年をまたいで1分野ずつの受験も可能ですが、5年以内に全分野の合格が必要となります。

 

2次試験

2次試験は実務能力や実践力、応用力が判定される内容となっており、大きく記述と面接の2つに分かれています。

  1. 記述問題(論述):1次試験からの事例問題への回答をレポートにする
  2. 面接試験(グループディスカッション)

 

記述問題のレポートは、指定期日までに郵送でおくる必要があります。

 

2次試験の合格要件

記述と面接の総合評価で

  1. 適切なアセスメントの視点を有している者
  2. 認知症を理解している者
  3. 適切な介護計画を立てられる者
  4. 制度および社会資源を理解している者
  5. 認知症の人のの論理的課題を理解している者

を満たしていることが条件となっています。

 

合格率、難易度は?

認知症ケア専門士試験の合格率は、40〜60%程度です。

 

認知症ケア専門士の資格全体の難易度は、これは感覚値になりますが、介護福祉士国家試験よりも少し難しいくらいですね。

 

ですので、介護福祉士の次に

  • ケアマネ or 認知症ケア専門士

のような順番で取得すると良いのではないかと思います。

 

勉強方法は?

アマゾンや楽天ブックスで探せば、

  • 認知症ケア専門士認定試験受験の手引
  • 認知症ケア指導管理士試験(初級)公式テキスト
  • 1日45分×60日 認知症ケア専門士絶対合格テキスト
  • 【1次試験対応】この1冊でらくらく合格 認知症ケア専門士 テキスト&予想問題集
  • みんなが欲しかった! 認知症ケア専門士 肢別問題集
  • 認知症ケア専門士認定1次試験対策ワークブック&模擬問題200

などなど、たくさんのテキスト、参考書、過去問題集が見つかります。

 

口コミ評価の高いものを数冊選んでみて、集中して取り組むだけで十分かと思いますが、

  • 通学講座
  • 通信講座
  • e-ラーニング講座

も少ないながらも実施しているスクールがありますので、気になる方は資料請求などしてみてください。

 

 

(3)更新制の資格

認知症ケア専門士は更新制の資格です。

 

ただし、何もしなくても更新できるような簡単な資格ではなく、更新する為には資格取得後から5年間で30単位を取得することが必要です。

 

単位は主に学術集会や講演会の参加などで得ることができます。

 

更新のために単位が必要になってくるので継続の為には負担もありますが、新たな学習の機会が増え、最新の知識も身につけられます。

 

この更新性の意味は、

  • 継続的な努力をできない人
  • 仕事を長期的に休まなければならない人

には、認知症の方のケアをできなくする目的も込められていると感じます。

 

それだけ非常に専門的で高度なスキルが必要となる仕事なのです。

 

 

(4)活躍の場面はさまざま

今、もっとも需要のある資格と言っても良いので、認知症ケアの專門知識を持つ認知症ケア専門士の活躍の場面は多岐にわたります。

 

介護業務で活躍するならば、

  • グループホーム
  • 認知症対応型デイサービス
  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 有料老人ホーム
  • 訪問介護事業所
  • 訪問看護事業所

などがあげられます。

 

相談業務で活躍するならば

  • 地域包括支援センター
  • 居宅介護支援事業所
  • 社会福祉協議会

などが主になります。

 

介護士のキャリアアップとしてどうか?

認知症ケア専門士は、認知症の深い知識を持つことができ介護職者としてレベルアップが望めます。

 

狙うタイミングとしては、介護福祉士を取得した後に、ケアマネや社会福祉士ではなく認知症ケア専門士という方向性も考えられます。

 

ケアマネや社会福祉士になる人は多いですが、認知症ケア専門士になる人はまだそう多くはありません。

 

ですが、認知症患者は将来的に増える一方ですので、ご自身のなりたい介護士像と照らし合わせてキャリアアップの方向性を考えていきましょう!

 

初心者向けの認知性介助士

まったくの認知症初心者の方でも3ヶ月の受講で取得できる資格です。
また実務経験も不要ですので、介護業界での勤務実績がなくても取得できます。

 

どちらかというと、専門家になる為というよりも、家族介護等の為に基礎知識を付けたい方向けの資格となります。

 

認知症介助士

 

認知性介助士の詳細
資格名 認知症介助士
認定団体 公益財団法人 日本ケアフィット教育機構
受験資格 特になし(実務経験不要)
試験会場 在宅での受験
試験日 受講してから6ヶ月間
回答方式 マークシート
合格基準 80%以上の正答率(出題全30問中で24問以上正解)

 

認知性介助士はユーキャンで開講している通信口座です。
お申込みはユーキャンから行うことができます!

 

ユーキャンの教材内容
  • ガイドブック
  • テキスト2冊(知識編・実践編)
  • 認知症予防アイデア100とレシピ30
  • 認知症予防手帳作成ナビ
  • ポケットカロリー
  • 添削課題集

 

上記のテキスト内容を見るとわかるのですが、「認知症介助士」は、どちらかというと予防に重きを置かれている資格です。

 

いざ認知症になった方の介助を学ぶ為には、より専門的な資格やスキルが必要になります。

 

どんな方にオススメ?

ユーキャンの資料によると、

  • 両親が高齢の方:症状を見て、頑固な高齢者や性格によるものと判断しないようにする為
  • 自分も含めた中高年以上の家族の予防の為
  • 職場でスキルを活用する為:介護現場やサービス業に就いている方向け

というような案内がされています。

 

受講者の口コミ(受講したキッカケ、理由など)
  • 両親の高齢化をきっかけに、認知症への理解を深める為
  • 夫が要支援2と診断されて、早急に受講しました
  • 介護施設で働いているが、認知症の方への自分の対応が合っているかいつも不安を感じる為
  • 90歳になる母はまだ大丈夫ですが、いつ認知症になるかわからない為
  • 義父が認知症になり、どう接して良いか苦しみ、悩んだ上で受講を決めました

 

各認知症資格の違いとは?

  • 認知症ケア専門士:実務経験3年以上が必要なので、より深く認知症専門の介助士になりたい方向けです
  • 認知性介助士:完全初心者向けです

 

まとめると、
介護士として本業で認知症の方と携わっている方は、認知症ケア専門士の取得を目指しましょう。

 

ご家族の方や周囲の方の為に、認知症の理解を深めたい方は認知性介助士で十分だと思います。