難病患者を介護することができる資格

難病患者等ホームヘルパー

難病患者等ホームヘルパーは、難病各疾患の知識や技能を持ち合わせ、在宅医療を行っている難病患者の生活介助を行うことのできる資格です。

 

訪問介護員からスキルアップ・キャリアアップできる方向性の一つとして注目が高まってきています。

 

難病の患者を介護できる資格

 

難病患者等ホームヘルパーについて

取得方法 講座を受講して取得
受講期間 1日
受講費用 9,500円〜

 

(1)難病患者等ホームヘルパーってどんな資格?
(2)受講資格について
(3)どんな事を学ぶの?
(4)どんな所でお仕事ができるの?
(5)難病の特徴と介助時の注意点

 

 

(1)難病患者等ホームヘルパーってどんな資格?

難病患者等ホームヘルパーは、難病や難病各疾患に関する

  • 医療
  • 保健
  • 福祉制度

についての知識や技能を持ち、在宅医療を行っている難病患者の生活介助を行うことのできる資格です。

 

 

(2)受講資格について

難病患者等ホームヘルパーの講座は、

  • 基礎課程T(6時間)
  • 基礎課程U(7時間)

2種類あります。
受講資格はそれぞれ以下となっています。

 

基礎課程T
  • 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の修了者または修了予定者
  • 介護職員基礎研修の修了者

 

基礎課程U

となっています。
※上記の資格証、修了証明書の提出が必要となります。

 

基礎課程Tについては、それほど受験資格も厳しくないですが、基礎課程Uは実務経験も必要になってくるので、介護の初心者の方が取得するような資格ではないと言えます。

 

養成講座の受講料は?

基礎課程Tと基礎課程Uともに、各1万円前後の費用がかかるのが相場となっています。

 

ただ、都道府県によっては、年に数回程度、無料の養成研修を開催しているところもあります。

 

ただし、その情報を自分でキャッチする為には、まめに各都道府県の公式サイトをチェックするしかありません。

 

 

(3)どんな事を学ぶの?

難病患者等ホームヘルパーの資格取得時には、難病についての知識・援助方法を学びます。

 

講座の内容は以下となっています。

 

基礎課程T
  • 難病の基礎知識
  • 難病の保健、医療、福祉制度
  • 難病患者の心理及び家族の理解

受講時間は、4〜6時間程度です。

 

基礎課程U
  • 難病の基礎知識2
  • 難病の保健、医療、福祉制度2
  • 難病患者の心理学的援助法
  • 難病に関する事例検討等

受講時間は6〜8時間程度です。

 

専門的な受講内容となっていて、パーキンソン病や全身エリテマトーデスなどの難病について、医学的な知識を学び、介助にあたる時に必要な基本姿勢を学びます。

 

所定講座の受講を修了すると、難病患者等ホームヘルパー養成講座の修了証明書を取得できます。

 

独学は必要なく、養成講座を受講するだけ

難病患者等ホームヘルパーの資格を得る為には、養成講座を受講するだけです。

 

ですから、テキストや参考書等で、独学で勉強する必要はありません。

 

また、養成講座には、

  • 卒業試験
  • 修了試験

はないので、取得したい方はとにかく養成講座を受講する為に、ご自身のスケジュールを押さえることが先決となります!

 

 

(4)どんな所でお仕事ができるの?

資格取得後は、難病を患らっている人を対象として訪問介護サービスを行います。

 

受験資格のところでもお話していますが、難病患者等ホームヘルパーはホームヘルパーの基本資格を取得している人を対象とした資格で、無資格では受講できません。

 

なので、まだヘルパー資格を持っていない人は、まずは初任者研修の受講をすることをオススメします。

 

訪問介護サービスのニーズは多様化していて、ヘルパーにはケアへの幅広い知識と技術が求めてられています。
キャリアアップを図るためにも取得しておいたほうが良い資格といえます。

 

 

(5)難病の特徴と介助時の注意点

在宅で介助にあたることの多い難病の症状と介助時の注意点を紹介します。

 

パーキンソン病

パーキンソン病は、脳でつくられる運動機能を調整する神経伝達物質のドパミンが変性し、身体への情報の伝達がうまくいかなくなり、動作に異変がおこる病気です。

 

【症状の特徴】
  • 動作緩慢:動作が遅くなり、歩幅が小さくなり歩行も遅くなる
  • 振戦:安静時に身体が左右どちらかに傾き、手足が振るえる
  • 姿勢反射障害:姿勢を直すことができず、身体が倒れ始めるとそれを止めることができない
  • 筋固縮:筋肉がこわばる

 

【介助時の注意点】

薬が効いているとき(ON)と効いていないとき(OFF)の身体状態がはっきり分かれていることもパーキンソン病の特徴です。

  • 姿勢の観察:前かかみ姿勢になりやすいので、転倒しないように注意する
  • ONの時:薬が効いている時は、普通に身体が動くので、自分でできる事は本人にやってもらう

    ※この時、介助者はしっかりと見守りをする

  • 内服の確認:服薬管理は訪問看護師や家族、または本人がしますが、介助者はその確認や促しをするように気をつける

 

関節リウマチ

関節リウマチは、関節が炎症を起こし変形したり痛んだりする病気で、膠原病の1つです。
女性に多くみられ、進行すると骨や軟骨の破壊、肺や血管など全身にさまざまな症状があらわれます。

 

【症状の特徴】
  • 朝のこわばり:起床時、手足の指関節が動かしにくい
  • 関節炎:関節が左右対称に複数腫れ、痛む
  • その他:倦怠感、貧血、微熱、食欲不振など

 

【介助時の注意点】

関節にかかる負担を軽減できるように、福祉用具の活用など工夫が必要です。
また、ストレスが関節リウマチの症状を悪くすることもあるので、ストレスがたまらないように介助方法を考える必要があります。

 

  • 関節への負担:食事の時、物を運ぶ時など、自助具(※)を活用し介助する
  • バランスの良い食事の提供:貧血や骨粗しょう症の予防、体力低下や筋力低下を予防する
  • 安静にしすぎない:痛みや倦怠感で安静にしている事が多くなってしまうが、必要以上に安静にしていると関節が動かなくなるので、配慮して介助にあたる

 

※自助具(じじょぐ)とは:身体の障害で、難しくなってしまった動作を可能な限り自分でできるように補助をしてくれる道具のこと