実務者研修(旧ホームヘルパー1級)
実務者研修(介護福祉士養成)とは、介護に関する知識や能力だけでなく医療的なケアに関する介護技術を学ぶ目的として2013年より実施された研修です。
「介護職員初任者研修」の一つ上の資格になります。
改定前の「介護職員基礎研修およびホームヘルパー1級」に当てはまる資格です。
実務者研修が必須の理由
介護福祉士の受験資格として受講が必要!
介護業務に従事している方で、将来的には国家資格である介護福祉士の受験を考えている方は多いと思います。
その介護福祉士の受験資格が変更になりました。
平成28年度(2017年1月)試験より「実務経験3年」に加えて「実務者研修」を修了していることが必須となったのです。
※これまでは「介護職員初任者研修(ヘルパー2級)+実務経験3年」のみで大丈夫だった
ですから2017年1月を含め、それ以降に介護福祉士を受験される方は、必ず事前に「実務者研修」を受講しなければなりません。
かなり面倒になりましたが、介護福祉士の専門性を高める為の国の施策ですので、将来の為に早めに取得しておきましょう!
サービス提供責任者になれる!
訪問介護事業所には「サービス提供責任者(サ責)」を必ず配置しなければなりません。
実務者研修を修了すると、そのサービス提供責任者として勤務することが可能となり、福祉関連施設では非常に貴重な人材となれるのです!
実務経験3年以上のホームヘルパー2級(介護職員初任者研修)の方もサ責になることができますが、その場合は2013年から介護報酬が10%減額されるという制度になった為、やはり実務者研修を修了している方が有利なのは間違いないです。
サービス提供責任者とは?
サ責の仕事の役割を簡単に言うと、ケアマネと連携して介護プランを作成したり、訪問介護や育成介護などの管理業務が可能となる資格のことを言います。
施設によってはフロアリーダーにもなれる!
実務者研修を受講することで、初任者研修だけ受講した方よりも、より多くの知識と技術を身につけることができます。
施設によってはフロアリーダーなどの役職にもつくことができて、業務範囲も広がります。
そういったことを積み重ねた結果、
- キャリアアップ
- 給料アップ
が実現できるのです!
喀痰(かくたん)吸引や経管栄養が可能に!
実務者研修を受けることでそれまでは介護職では出来なかった「喀痰吸引」や「経管栄養」が可能となり、介護職の業務内容の幅が広がります。
医療の現場において医者の行為を看護師が行うことは禁じられているのと同じで、介護の現場でも資格によって「できること・できないこと」があります。
以前は、かく痰吸引や経管栄養のケアは、医療行為なので医療従事者でないと、介護職員がケアをすることはできませんでした。
それが、実務者研修修了後に実地研修を受けることで、介護職員でもたんの吸引や経管栄養の実施が可能となりました!
できることが多い方が現場で重宝されることが多いのは言うまでもないので、一つ一つの資格の積み重ねが介護業界では重要です!
(仕組みが難しい実務者研修も資料でスッキリ理解!※写真は三幸福祉カレッジ)
面倒な実務者研修が増えた理由
介護福祉士の受験資格に、この実務者研修を修了する要件が付け加えられた理由は、よく考えれば介護業界全体にとっても良いことなのです。
一つはキャリアパスが明確化されるといったメリットがあります。
さらにもう一つは、従来のように実務経験3年だけで国家資格(介護福祉士)の受験要件を満たしてしまうという問題点を改善することができる点にあります。
例えば、高齢者施設で働いた場合と児童福祉施設で働いた場合とでは、介護従事者が身につける知識と経験は大きく異なります。
なのに同じ実務経験3年とカウントして、それ以外の研修はなしでは、やはり人によってスキルが偏りすぎてしまいます。
そういった意味でも今回の変更は介護士の質を向上させる上で非常に有用なものです。
介護福祉士への受験は厳しくなりますが、介護業界全体のレベルアップが図られるためには実務者研修は非常に重要な研修制度になると言えると思います。
実務者研修の受講時間や免除科目
実務者研修のカリキュラムは、
- 介護過程
- 医療的ケア
の2分野で全450時間で構成されています。
免除科目
既にお持ちになっている介護資格によって、受講時間が変わってきます。
免除後の受講時間はそれぞれ、
- 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級):320時間
- ホームヘルパー1級:95時間
- 介護職員基礎研修:50時間
- 無資格:450時間
となっています。
実務者研修で「よくある質問」
介護資格を取得する順番は、基本的には、
(1)介護職員初任者研修
(2)実務者研修
(3)介護福祉士
(4)ケアマネジャー(介護支援専門員)
が正解と言われています。
ですが、厚生労働省が定めた制度的には、1番目の介護職員初任者研修を飛ばして、2番目の実務者研修から受講をスタートすることも可能です。
この「初任者研修を飛ばしてしまう」問題については、私だけではなく一般的にもお勧めされていません。
なぜなら介護の実務経験がない方にとって実務者研修の内容は難しすぎるからです。
初任者研修を抜かせば、受講料もかからないので金銭的には節約できます。
ですが、一番大事なのは、長く介護職として生き抜く為のスキルや知識を得ることです。
初任者研修の10万円を渋ることで、時間的な遠回りをしないようにお気をつけください。
初心者の方には、まずは介護職員初任者研修の受講をオススメします!
介護福祉士の受験資格には「実務経験3年以上」という条件が付いています。
ですから仕事を続けながら実務者研修を修了できるように「通信で学べる受講科目が多く設定されている」など、受講者の負担を軽減する取り組みがなされています。
もちろん通学も必要となっていますが、土日、夜間、平日から選べるので、無理なく受講できる方は多いと思います。
とはいえ、実務者研修の受講中は時間管理が大変です。
家族や勤務先と相談してご自身のシフトスケジュールを調整するなどして、無理なく受講していきましょう!
介護職員初任者研修に修了試験が追加されたように、実務者研修にもそのような卒業の為のテストがあるのでしょうか?
今のところそのような試験はありません。
ですから、実務者研修では、とにかく実技スキルを高めることに集中しましょう!
体験談
以前、職業訓練で介護基礎研修を受講したことがあります。
ある日、その通っていた介護労働安定センターから案内があり、「今後は介護福祉士を受験するにあたり、実務者研修が必須科目となります」と連絡が来たので、講習会に参加することにしました。
使用したテキストは、介護職員等実務者研修(450時間研修)テキスト第5巻医療的ケアでした。
講師は、ほとんどの方が看護士であり、テキストの内容だけを学ぶのではなく、現場での看護士から見た医療的視点からの、
「症状から疑うべき病名・症例」
を学ぶことができました。
私はグループホームでの勤務の為、看護士の話や意見を聞く機会がなかったのですごく勉強になりました。
今後、介護福祉士を受験する予定ですが、受験しなくても、すごく勉強になったと思います。
受講して一番、驚いたのが嚥下に対してです。
誤嚥は嚥下障害がある方のみ起こっていると思っていました。
ですが、少しの誤嚥(ごえん)している動画を実際に見て、
実際には嚥下障害のない元気な方でも、老人などの体力ない方は誤嚥性肺炎を起こしてしまう可能性があると知れたことがすごく、記憶に強く残っています。