福祉用具専門相談員
福祉用具専門相談員の主な業務は、介護が必要な方への福祉用品のレンタルや販売業務が中心になります。
介護保険制度では、福祉用具の貸与は保険給付の対象となりますので、福祉用具貸与事業を行う事業所は、福祉用具専門相談員を2名配置することも必要としています。
資格を取得すると、就職において一定の機会を得られます!
福祉用具専門相談員ってどんな資格?
福祉用具専門相談員は、利用者さんが福祉用具をレンタルしたり購入する時に、その人に合った福祉用具を選ぶお手伝いをするのが主な業務です。
また、利用者さんが福祉用具を使用する前に、正しい使用方法を説明するのも仕事の一つです。
福祉用具の使用が開始された後も、定期的に用具を点検して事故のないように、調整をするという重要な役割も担っています。
資格の価値が上がりました!
平成27年4月より、福祉用具貸与事業所で相談業務を行える資格の要件が、福祉用具専門相談員または福祉用具の知識を持つ国家資格保有者のみとなりました。
なので無資格の方はもちろん、介護職員初任者研修等の介護資格を持っている方でも行なえません。
福祉用具専門相談員を取得している方にとっては、ライバルが減り、より就職先が見つけやすい状況です!
取得しやすい福祉用具専門相談員の資格
最短5日程度で取得できる
福祉用具専門相談員は、都道府県が指定する福祉用具専門相談員講習を受講すると取得できます。
その際に、受験資格や試験はありませんので、ヘルパーからスキルアップを目指す方に最適な試験と言えます。
また、最短5日で取得できることから、福祉関係の資格取得に興味がある方からも人気です!
土日コースもあるので、お仕事をしながら受講することもできます。
講習の種類には、
- 都道府県の行う研修(40時間)
- 一般社団法人シルバーサービス振興会が行う研修(50時間)
などがあります。
福祉関係の用具と聞いてイメージするものは車椅子や歩行器などが中心かも知れませんが、相談内容として多いものには介護用ベッドもあります。
ですから寝具や日常用品関連の業務を行う方の取得も最近では多くなっています。
通信のみで取得できない点だけがデメリット
福祉用具専門相談員講習は、実習や実技があるため、通信講座では資格を取得することができません。
全て通学が必要になりますので、受講する前に内容をご確認くださいね。
就職先・職場はどんなところ?
福祉用具専門相談員として考えられる職場は、主に福祉用具貸与事業を行っている事業所になります。
福祉用具貸与事業とは、福祉用具の販売やレンタルを行っている会社のことです。
そこで福祉用具のアドバイザーや営業職として働くことが中心になります。
上記にも書きましたが、平成27年4月の介護保険法改正で、福祉用具貸与事業所で利用者さんの相談に応じられるのは、福祉用具専門相談員と福祉用具の知識を持つ国家資格保有者だけとなりました。
ここでいう福祉用具の知識を持つ国家資格保有者というのは、介護・福祉系では、
医療系では、
- 看護師
- 准看護師
- 保健師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 義肢装具士
となります。
就職は他の資格と合わせると効果的!
とはいえ、事業所に2名の配置が義務付けられているとはいえ、現状では福祉用具専門相談員の資格のみで収入を得ることは非常に難しいと言わざるを得ません。
この資格単体で就職が有利になったり多くの求人があるとは言えないのが実際のところです。
相談員として働く方は、大体が、
- 介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)
- 福祉住環境コーディネーター
- 介護福祉士
などの資格を保有しています。
福祉用具の知識だけを持っていても、実際に介護福祉に関する知識もなければ必要なニーズを持つ利用者さんと福祉用具を結びつけることは難しいと言えます。
なので他の主要な福祉資格と一緒に取得することで信頼性があがる資格となります。
福祉住環境コーディネーターを一緒にオススメする理由の補足
福祉用具貸与事業所は、福祉用具のレンタルと販売の他に住宅改修の窓口の役割を担っている事業所が多くあります。
なので、福祉用具貸与事業所でお仕事をするのならば、住宅改修に関する知識を持つ福祉住環境コーデイネーターの資格も保有していると仕事の幅を広げることができます。
その他一緒に持っておいた方がよいオススメの資格として、基本となりますが介護職員初任者研修があります。
ヘルパーとしてすぐに働くこともできるというメリットもありますが、福祉用具アドバイスをする時にも高齢者や障害者の專門知識が必要になるので、利用者さんの身体状況をよく理解した上でアドバイスができるようになれるからです。
福祉用具専門相談員の講座内容
福祉用具専門相談員講習のカリキュラムは、全50時間から構成されています。
演習や実技もあり、基礎からしっかりと学べる内容となっています。
役割、制度について
- 福祉用具、福祉用具専門相談員の役割
- 介護保険制度の考え方としくみについて
- 介護サービスにおける視点
医療、介護に関わる基礎知識
- 高齢者、障害者のからだとこころの理解
- 高齢者の日常生活の理解
- リハビリテーション
- 介護技術
福祉用具と住宅改修について
- 住環境と住宅改修について
- 福祉用具の特徴、活用
福祉用具サービスのしくみと支援方法について
- 福祉用具の供給のしくみ
- 福祉用具貸与計画等の意義と活用
- 福祉用具による支援の手順と福祉用具貸与計画の作成
などです。
修了試験は?
講習の最終日に修了評価の筆記試験があり、合格すると修了証が発行されます。
もしも、不合格になった場合は、補講を受け筆記試験に再チャレンジすることができます。
スクールによっては、補講後レポートを提出することで修了証が発行されるところもあるようです。
ケアマネジャーにもつながる道
あまり知られていませんが、福祉用具専門相談員の資格を取得すると、ケアマネジャーの受験資格を満たす場合もあります。
福祉用具供給事業従事者研修会を修了し、5年以内に福祉用具供給事業従事者現任研修会を受講します。その後、介護系の相談援助業務を5年以上経験することで受験資格が発生します。
福祉用具のスペシャリストとともに介護実務のスペシャリストも同時に目指すビジョンを持つことも可能です。
受講した方の口コミ
【日本キャリアパスアカデミー/通学/女性】
スクールに5日間(合計40時間)通う講座でした。
場所は浦和だったのですが、前にそこで働いていた経験があり土地勘があったので選びました。
実際に通った感想としては、ホワイトボードに書かれる内容をノートに書き写すだけではなく実習系が多かったです。
車いすを押す実習までありました。
研修の一環で、福祉用具の展示場などにもケアマネ同伴で連れて行ってくださり、種類の豊富さを学んだりしました。
私はホームヘルパー2級の資格もあり、介護現場での実務経験もあるのですが、今回は資格を取って就職をしようと思い受講したわけではありませんでした。
その時は既に、福祉業界でしばらく経験を積んだ後に、IT業界で福祉系の知識を活かしたヘルプディスクの仕事につくことができていました。
その仕事では、ケアマネや福祉用具等の介護専門職の方々に色々システムの使い方を説明するという立場だったので、業務の参考にするという意味で受講しました。
講習だけ受ければ誰でも簡単に取れてしまう資格なので、福祉用具専門相談員だけで就職をするのは難しいかもしれません。
どちらかというとプラスアルファで考えた方が良いと思います。