特別養護老人ホーム
介護保険には施設サービスが3種類あります。
- 介護福祉施設=特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
このページでは、1番目の特別養護老人ホーム(特養)について紹介しています。
特別養護老人ホームとは
自宅での生活が難しくなり、常に介護が必要な人が入所する介護施設です。
生活をする上で絶対に欠かせない食事や入浴、排泄などが、介護サービスとして行われています。
サービス内容
(1)食事の提供
利用者さんの食事摂取状態や健康状態に合わせた食事が提供されます。
また、自分で食べられない利用者さんへは、食事介助も行われています。
(2)入浴
- 一般浴
- 個別浴
- 機械浴(ストレッチャーや車いすのまま入浴)
など、利用者さんの身体状態に合わせた介助が行われています。
(3)排せつ介助
トイレ誘導、パット交換の援助からオムツ交換などが行われています。
(4)リハビリ
身体機能の維持、向上ができるよう機能訓練が行われています。
(5)余暇活動の援助
余暇を楽しむ為に、
- レクリエーション
- 体操
- 趣味
などの援助活動が行われています。
施設によっては、花見などの季節毎イベントが開催されています。
生活環境について
従来型の多床室(4人〜6人部屋)タイプとユニット型タイプがあります。
両方のタイプとも1つのフロアに
- 共同食堂
- トイレ
- 洗面設備
- 介護職員の部屋
があります。
生活を支える部屋
- 浴室
- 洗濯室
- 調理室
医療的な機能も施設内にある
- 医務室
- 機能訓練室
特養の種類(専門用語)
従来型多床室タイプ
利用者さんが4人〜6人部屋で生活する施設です。
1フロアの人数は20〜30人ほどとなります。
ユニット型タイプ
個室対応で、1ユニット10人程度を定員としています。
ユニット単位で介護職員や看護職員がケアを行っています。
施設で働いている人
(1)介護職員
介護職員初任者研修の修了者と介護福祉士が中心となり、介護業務を行っています。
利用者さん3人に対して、1人の割合で職員が配置されるのが一般的です。
日本は超高齢化社会に突入しており、介護の手を必要とする人が年々増えている為、より多くの介護職員の活躍が求められている所です。
(2)看護職員
薬の管理や医療処置などを、医師の指示に従い行っています。
(3)生活相談員
家族との連絡や入所申込の受付や利用者さんと家族の相談援助を行っています。
(4)介護支援専門員(ケアマネジャー)
施設プランの作成、家族との連絡、利用者さんと家族の相談援助を行っています。
利用者さん100人に対して、1人の割合で配置されています。
(5)機能訓練士
リハビリの指導を行っています。
(6)栄養士
施設での食事のメニューを作っています。
栄養士がメニューにもとづいて、調理員が食事を作ります。
(7)医師
利用者さんの健康管理を行っています。
(8)施設長
施設の運営、労務処理など主に、事務処理を行っています。
利用できる人
特別養護老人ホームと言えば、長い順番待ちです。
営利企業が運営している有料老人ホームよりも、かなり費用が安くなる為、人気があるからです。
ですが、超高齢化社会で高齢者の数が増えすぎてしまって、受け入れ側の体制が整っていないのが問題です。
そこで平成27年(2015年)の介護保険法改正で入所基準が厳しくなりました。
利用できるのは、
- 要介護3〜5
の人だけとなりました。
例外で入所可能な要介護1〜2
認知症が重度な利用者さんや、家族の虐待などがある場合、入所が許可されることがあります。
※平成27年(2015年)4月以前から入所していた、要介護1〜2の利用者さんはそのまま入所を継続できます
費用について
介護度ごとに利用金額が設定されていて、介護度が重い方が少し高くなっています。
月額7万〜15万程度となり、費用の内訳は
- 居住費(家賃)
- 食費
- 光熱費
- 日常生活費(理美容代など)
となっています。
低所得の人へのアドバイス
所得が少ない人の負担を軽くするための制度があります。
それは介護保険負担限度額認定申請です。
負担軽減対象者は下記のように第1段階〜4段階まで分かれており、第1から3段階の人は居住費(家賃)と食費が段階毎に軽減されます。
負担限度額段階一覧
第1段階 | 年金受給者で、世帯全員が住民税非課税または、生活保護受給の人 |
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第2段階 | 世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得と課税年収額の合計が80万円以下の人 |
第3段階 | 世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得と課税年収額の合計が80万円以上の人 |
第4段階 | 住民税課税世帯の人 |
手続きは、区市町村役所へ「負担限度額認定申請書」を提出するだけです。
結果は、1週間程度でご自宅に郵送で届きます。
さらに費用面では、従来型タイプの方がユニット型タイプより費用が安く設定されています。
養護老人ホームについて
特別養護老人ホームとは別に、頭に「特別」がついていない「養護老人ホーム」というものもあります。
この老人ホームは、介護保険法の上では在宅サービスに分けられています。
養護老人ホームは、介護が必要という理由ではなく、環境的や経済的な理由で自宅で生活ができなくなってしまった人を受け入れてくれる施設と位置づけられています。
また、養護老人ホームに入所している人も、介護保険サービスを受けることができます。
サービスを受ける場合は、自宅で暮らしている人と同じように訪問介護などの在宅サービスを利用することになります。
特養で働きたい方は?
まずはヘルパー資格である介護職員初任者研修の資格を取得しましょう。
まったくの未経験者で就活するよりも、圧倒的に特別養護老人ホームに就職しやすくなります!
そしてそこで働いて実務経験を積みながら、介護福祉士の受験資格を満たしていくと良いと思います。