訪問入浴介護サービスの対象者と利用の流れ
訪問入浴介護とは、介助事業者が入浴車両を使って自宅へ浴槽を持ち込み、利用者さんの居室で入浴介助を行うサービスです。
- 自宅のお風呂に一人で入るのが難しい人
- 家族介護を行っているがお風呂だけは難しいという場合
などが主に対象となっています。
お風呂に入るということは、利用者さんにとっても、
- リラックス
- ストレス解消
- 血圧を下げる
- 食欲が出てくる
- 身体の痛みが和らぐ
などの効果が見られます。
介助スタッフの構成
訪問入浴介護は、スタッフが3人1組となってサービスを行います。
スタッフは
- 看護職員:1名
- 介護職員:2名
というメンバーで構成されています。
浴槽の準備
まず訪問入浴のスタッフが、浴槽を自宅の居室まで運びます。
ここで大変なのは利用者さんの自宅は1戸建てばかりではないということです。
- ホテルのように大きな高層マンション、タワマン
- エレベーターのない集合住宅
- 通路がとても狭いアパート
などなど、スタッフが頑張って浴槽を運んでくれます。
ただ、浴槽を置くのに必要なスペースは、畳1帖程度で大丈夫です。
意外と小さなスペースで十分なのが、よく意外に思われるところです。
セッティング
- 防水シートやマットで、居室の床がぬれないように保護
- 浴槽を組み立てる
お湯の準備
- 浴槽の水:自宅の水道を利用
- 水から湯へ:水道蛇口からホースを入浴車両につなぎ、車両につんでいるボイラーでわかす
- ポンプで浴槽へくみ上げる
基本的には上記の通り、入浴車輌で沸かしたお湯を部屋に置いた浴槽の中に移動させます。
ただし、この場合は車から部屋までお湯を運べる距離であることが条件です。
もしタワマンなど、お湯を運ぶのが難しい場合は、自宅のお風呂を活用します。
自宅のお風呂でお湯を沸かし、それを部屋に置いた浴槽まで運ぶのです。
どうして最初から、利用者さんのお風呂場を借りないのかというと、やはりお宅によっては、
- 機能的
- 衛生面的
など問題がある場合も多いからです。
入浴介助の流れ
スタッフが自宅訪問後、以下の手順でサービスが行われます。
入浴前
1.健康状態のチェック
看護職員が利用者さんの体温、血圧の測定、身体状態のチェック。
※体調が良くない時は、浴槽に入らず、清拭(蒸しタオルで身体をふく)対応になることもあります。
2.入浴の準備
浴槽にお湯をはる。
3.浴槽へ移動する
ベッドや布団で、衣類を脱ぐ介助を受け、スタッフが浴槽へ移動介助する。
入浴
4.身体を洗う
顔⇒洗髪⇒洗身(身体)の順番で、スタッフが身体を洗い、シャワーで流す。
5.湯船につかる
スタッフが見守り、ゆっくりと湯船につかる。
入浴後
6.ベッドまたは布団へ移動
スタッフが介助してベッドまたは布団へ移動させる。
身体の水分をしっかりと拭いてから、衣類の着衣介助をする。
7.再度健康状態のチェック
看護職員が再度、体温、血圧の測定をし、身体状態をチェックする。
この際、必要な医療処置も実施(傷の処置など)。
8.片付け
浴槽の湯を排水、機材消毒をし、家具などを移動していた場合はもとの位置にもどす。
タオルや石けん、シャンプーは、訪問入浴介護サービスが持参するので、利用者さんが準備するのは着替えだけです。
サービス事業所によっては、シーツを貸し出してくれたり、入浴剤を準備してくれたりすることもあります。
訪問入浴介護サービスを利用できる人は?
利用の対象は、要介護1から要介護5までの自宅で暮らしている利用者さんです。
自宅での入浴が難しい人で、たとえば
- 寝たきり
- 医療処置がある(バルーン=尿道に管が入っている、ストーマ=人工肛門)
など身体状態のあまり良くない人が多く利用しています。
軽度の方の利用について
要支援1〜2の利用者さんも、一定条件を満たせたば利用できます。
- 感染症で自宅や施設での入浴ができない
- 自宅に浴槽がない上、施設へ通うこともできない
などです。
利用料金について
介護保険を利用した場合、
- 1回:1250円程度
です。
体調が悪くて、入浴ができず清拭対応になった場合、少しだけ料金が安くなります。
ケアマネより一言アドバイス!!
身体状態が悪くても、訪問入浴介護サービス以外で自宅のお風呂に入浴できる方法があるので、少し条件付きですが紹介しておきますね。
1.介助で自宅の浴室まで移動できる場合
訪問介護サービスを利用し、ヘルパーさんに入浴介助をお願いする
2.浴室まで介助で移動できるけど、浴槽に介助で入るのが難しい場合
リフトを利用し、訪問介護サービスのヘルパーさんに入れてもらう
※リフトは福祉用具でレンタルできます。
全ての人に同じ方法があてはまるわけではありません。
利用者さんの身体状態に合わせて、安全な入浴介助をしましょうね!!