介護事務を取得する必要性やケアマネ、医療事務との関係
介護の現場で働く際に、介護事務資格は必ずしも必要ではありません。
しかし、介護職として働くならば、取得しておけばいつか必ず役立つ資格でもあるのです。
なぜなら、
- 介護職員として出世していく為
- ケアマネージャーを受験する時
- 腰痛や体力の限界が来た時
に持っていると有利になる資格だからです!
また、医療事務の資格を取る時に付属の勉強として活用されているケースも多いので、このページではそちらの詳細についても合わせて解説していきます!
介護職員として出世していく為
介護事務の勉強をすると、管理職になるために必要な事務の知識を身に付けられます。
役職を持たない介護職で働いているうちは、現場で利用者様のことを中心に考えていればいいのですが、出世して管理者の立場になるとそうはいきません。
施設全体の収支を考え、福祉事業とは言いながらも、事業を継続させる為の収益性を考える必要があるからです。
そのためには、
- 介護報酬がどのような形になっているか?
- 加算単位数を算定するための届出事項は何か?
等を考えなくてはなりません。
そのために介護事務の勉強をすること、特に講座の中で学べる介護報酬早見表を読みこなせるようになることは非常に大切なことなのです。
ケアマネージャーを受験する時
介護職に就いている人は介護職員初任者研修の資格を取り、実務経験が5年を超過すると介護支援専門員(ケアマネージャー)の受験資格の条件を満たします。
通常にステップアップするならば、
ときて、機が熟したらケアマネージャーを受験します。
その後、試験に合格してケアマネとして働く際には、介護事務を取得している方が何かと有利になります。
ケアプランを立てるために
ケアマネージャーは、
- 利用者のケアプランの立案・見直し
- 施設との橋渡し役
- その人に必要なサービスの紹介と提供
をするので、要介護度・要支援の区分支給限度額の中で、「どこまで介護保険適用のサービスが受けられるのか」を計算し、効率良くプランを立てていかなければなりません。
計算するときに必要な知識が、介護事務で勉強する単位計算方法なのです。
つまりサービス費がいくらになるのか把握をしていることが大切になってきます。
介護事務で学べるのは、そのサービス単位の感覚なのです!
医療事務にも、ほぼ準じる形になるのですが、
- デイサービス
- 訪問介護
- 訪問入浴
- 施設介護
とすべて計算方法が違います。
さらにデイサービスで入浴するかによっても違いますし、訪問介護では外出するかについても変わってきます。
そういった細かい介助加算方式も含まれた計算をするのです。
実務経験を積む過程で先取りする為に
ケアマネジャーは実務経験を経ていないと受験資格がありません。
なので、その前段階として先取りで介護事務を勉強する方が多いのです。
つまり介護職員として働きながら受験・受講する人が多いということですね。
先に介護事務で学んでおけば、ケアマネ受験の際に勉強時間を大きく時間短縮することができます。
また、あらかじめ介護事務を取得していた方が、ケアマネジャーになった後も仕事において有利ということになります。
腰痛や体力の限界が来た時
介護職に就いている人の多くが職業柄、腰痛になりやすいです。
そして、体力的に介護の仕事を続けていけるかどうかの心配が出てきます。
福祉施設の事務職の場合、介護士の手が足りなくなるお昼時に、
- 食事介助
- 自力で居室から食堂まで歩ける方で支えを必要とする方のサポート
に借り出されることがあります。
また、入居者のためにカラオケ大会などイベントごとを行うこともあります。
このような行事のときも、利用者様の移動で事務員もお手伝いします。
つまり、雇う側にとっては介護知識のある事務員が欲しいのです。
そのことを考えると、現在、介護職にある人は、将来的に事務に配置換えをしてもらうことで、仕事が続けられて自分の体にも負担がかからなくなるようにできる可能性が高くなります!
働きなれた職場を離職しなくても済むのです。
このように考えると、もしかしたら起こり得るときのために介護事務を勉強しておくことは重要です。
医療事務の方が介護事務を勉強するメリット
「介護事務=福祉施設の事務」というイメージが強いですが、介護保険の利用者は福祉施設の利用者だけとは限りません。
例えば、訪問看護は介護保険サービスの一つでもありますが、医療保険にもあります。
同様に医療保険の在宅の項目に「在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料」があり、介護保険でも「訪問リハビリテーションサービス」があります。
このほか、名称は違いますが、医療保険の
- 在宅患者訪問診療料
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料
- 在宅患者訪問栄養食事指導料
は、介護保険の「居宅療養管理指導料」に似たような項目があります。
「居宅療養管理指導料」の場合、訪問者が医師なのか薬剤師なのか管理栄養士なのかによってそれぞれ求める単位数に違いのあるサービスです。
訪問診療
今、多くの診療所では地域のニーズを鑑み、訪問診療を行っているケースが増えてきました。
この訪問診療も、例示したように介護保険にも医療保険にも似たような項目があります。
これは、診療所における訪問診療に限りません。
病院の入院についてもそうです。
慢性期の療養病床についても介護保険適用病床と医療保険適用病床とがあり、給付調整が行われます。
いずれにせよ、医療・介護の双方が絡むことを考えると正しい請求をするために双方の知識があることは有利なことです。
医療法人が福祉施設を運営する可能性もある
近年の傾向として、日本の医療は機能分担をする傾向にあります。
また、各医療機関が地域の中での役割を考えるようになってきました。
そのため、かつては病院、診療所だけを運営していた医療法人が介護事業に進出する可能性もあるのです。
将来的な勤務先での配置転換を考えると勉強しておいて損はありません。
医療事務員が介護事務を学ぶべき理由
つまり、医療事務が介護事務を勉強することで、ご自身がお勤めの医療機関に正しい請求ができます。
また、医療法人が福祉施設を運営する可能性がある場合、法人側にとっても新規事業に新たな人材を投入するよりも、メリットがあるはずです。
勤務先に貢献できるということは、給与面だったり、採用身分だったりと何かしら自分自身にもプラスになることがあるはずです。
(まとめ)これからの介護事務の在り方
紆余曲折があって医療事務として働くことになったとしても、介護事務を取得していて損はありません。
今後高齢社会を迎える日本にとって介護に準じた資格は需要があり歓迎されます。
病院がリハビリテーション施設を経営することも少なくないので大変喜ばれるでしょう。
残念ながら、現在は介護事務のみで就業できることは大変少ないです。
しかし、この資格を持っていることで福祉の仕事への関心が高まり、介護の仕事に就くにあたっても有利に働くでしょう。
1か月程の勉強でもかなり身に付きます。
試験は二か月に一度あるので手軽にとれる資格と言えるでしょう。
次は「介護事務は独学で勉強するかスクールに通うか?」です。