車いす移動介助の方法を場面別に紹介

車いす移動介助方法と注意点

車いすは、歩行が難しい人や自分では移動ができない人が利用する福祉用具です。

 

たとえば

  • 片まひがある
  • 関節に変形や拘縮がある
  • 足の筋力が低下している
  • 難病で自分では身体を動かすことができない

など、その人によって利用する理由はさまざまです。

 

身体になんらかの障害があっても、車椅子という移動できる手段があれば活動範囲が広がり、生活に活気を取り戻すこともできます。

 

このページでは、利用者さんが安全に移動ができるように、車いす移動介助方法と注意点を紹介しています。

 

車いすの構造と名称

移動介助の説明をする前に、車いすの基本的な構造と名称を紹介しますね。

 

車いす

 

手でつかむ、操作する

1.ハンドル(グリップ):介助者が車いすを押すための握り
2.ハンドリム:利用者さん本人がこれを回転させて、車いすを操作するもの
3.ティッピングレバー:介助者が足で踏むレバー
4.ブレーキ:駆動輪を止めるためのレバー

 

足をのせる、座る

5.前輪(キャスタ):車いすの前輪
6.フットレスト:足をのせる部分(取り外しのできるものもある)
7.レッグレスト:フットレストから足が落ちないようにするガード
8.シート(座面):座る部分
9.アームレスト:肘をのせる部分

 

移動時の注意点

姿勢

まずは、利用者さんを正しい姿勢で座ってもらいましょう。

 

正しい姿勢というのは、

  • 深く腰かけ
  • 背筋が伸びている

というような状態のことです。

 

続いて、動き始める前に、アームレストから利用者さんの手が外に出てないか?を必ず確認しましょう。

 

手の次は足の確認です。
足が落ち巻き込まれないように、

  • レッグレスト
  • フットレスト

の位置を調整してください。

 

走行

走行スピードは、ゆっくりが基本です。
ですが、走行スピードは、

  • 介助者
  • 利用者

で感じ方が異なります。

 

なぜなら、利用者さんの方が介助者より地面に近い位置にいる為、下にいる方がスピードを感じてしまうからです。

 

スピードを出しすぎて不安感をもたせないようにしましょう!

 

方向を変える時は、停止するか減速するのが基本です。
走行中の方向転換は、バランスがくずれやすく事故の原因になるので注意が必要になります。

 

停止
  • 停まる時やその場を離れる時は、必ずブレーキをかける
  • 介助者は車いすから手を離さない

 

車いす介助

 

場面別の移動介助方法

屋内、屋外には、さまざまな障害物があります。
ここでは、場面ごとの介助方法を解説しています。

 

移動する前に、必ず利用者さんにこれから行う事を説明する事を忘れないでくださいね。

 

平地

屋外の道は、平に見えても少し傾いていたりします。
地面からの衝撃で、利用者さんの身体が傾いたりしたら、直ぐに姿勢をなおしましょう。

 

デコボコ道

利用者さんの身体への衝撃を少なくすることと、進みやすくなるため前輪をあげて走行します。
身体がズレ落ちないように、ゆっくりと移動しましょう。

 

段差を上がる

普段は気が付きませんが、道路を歩いていると、少しの段差というのはいたるところにあります。
子育て経験者でしたら、街中でベビーカーを押したことがあると思いますので、ご存知ですよね。

 

車いすの場合は、ベビーカーよりも操作が重たいですし難易度も増しますので、段差を上がる時はよりケアしていきましょう!

 

  1. 正面を向き、前輪を段差に直角に近づける
  2. 介助者はティッピングレバーをふみ、前輪を持ち上げる
  3. 前輪が浮いたまま前進して、前輪を段差にのせる
  4. 後輪が段差についたら、ゆっくりと前進し段差に後輪をのせて、そのまま前進する

 

段差を下りる

車いすに乗りながら段差を下りる時というのは、私たちが考えている以上に恐怖心を感じやすいところです。

 

これはガイドヘルパー(移動介護従事者)などの研修を受けたことがある方は、車椅子に乗る側も体験したと思いますのでわかるかと思いますが、始めて車椅子に乗る受講者の方が一番驚かれる場面でもあります。

 

実際に外で段差を下りる時には、利用者さんを不安にさせないよう、声かけを忘れずにゆっくりと行いましょう。

  1. 後ろ向きで後輪をゆっくりと下へおろす
  2. ティッピングレバーをふみ、前輪を持ち上げる
  3. 後ろに少しづつゆっくりと動き、前輪を下ろす

 

スロープを上がる

車いすが下がらないように、介助者は利用者さんを支えましょう。

  1. 前を向き、介助者はしっかりとハンドルを握る
  2. ゆっくりと前進する

 

スロープ下がる

坂やスロープを下がる時も、段差を下りる時と同じで、後ろ向きで行います。
また、同じく恐怖心を感じやす場面でもあります。

 

  1. 介助者はハンドルをしっかりと握り、両足を大きく開き急な動きがないように支える
  2. 利用者さんが不安ならないよう、声かけをしてゆっくりと下がる

 

エレベーターに乗る

他の乗車者に説明、同意をえて、車いすが入れるスペースを確保します。

  1. 正面を向き、ティッピングレバーを軽くふみ前輪が扉の溝にはまらないように少し上げる
  2. 前輪を上げたまま、前へ進み中に入る

 

乗車中はブレーキを忘れずにかけましょう!

 

エレベーターを降りる
  1. 扉の溝に気をつけて、後ろ向きのままゆっくりと降りる
  2. 中で向きを変えられていたら、前を向きゆっくりと降りる