住環境資格の取得後にわかった現場での役立ち方、見え方
福祉住環境コーディネーター2級の資格を取得すると、法律上できることが増えます。
介護関連で言うと、介護保険における「住宅改修の理由書」という書類を書くことができるようになります。
住宅改修の理由書を書くことができる資格は、
- ケアマネージャー
- 福祉住環境コーディネーター1級・2級
- 理学療法士
だけとなっています。
理由書を作成することの現実
住宅改修の理由書を法的に作成することができるようにはなりますが、しかしながら現実問題としては、
- 介護面
- 建築面
のある程度の正しい知識がないと、実際にクライアントに相談されても的確にアドバイスをしていくことは難しいと思います。
つまり、介護や建築の専門知識に関する知識を深める過程において、併せてこの資格を取得すると現場でも活かせるようになっています。
資格取得後の自分の中での気持ちの変化
福祉住環境コーディネーター2級に合格してからは、やっぱり自分に自信が付きました。
なぜなら、車椅子やリクライニングチェアーの個人個人に合ったポジショニングやシーティング、現場の機械浴は数種類あるのですが、
- 個人の能力に応じた入浴方法
- 介助方法
を見つけることができるようになったからです。
そもそも、取得前はそういったことを考える習慣がなかったのですが、知識を得て積極的に考えることもできるようになりました。
気持ちだけでないスキル面
スキル面でも、
- 今まで自走型の車椅子に乗られていた方の車椅子を、自走しやすく変えた
- 移動の際のみ車椅子が必要で座位が安定している方は、食事テーブルや椅子の高さを検討した
など個人が無理しない範囲での調節を行うなどの実績も出せるようになりました。
また、入浴場とトイレの改修を施設で行ったのですが、その際も色々と知識や意見を求められ工事内容に貢献することができました。
取得前と取得後の見え方、とらえ方の違い
資格取得後は、
「気づき」の機会が圧倒的に増えました
。
例えば、
- 浴室には何故このタイルが使われ、何故この場所にこの形の溝があるのか?
- 車椅子やリクライニングチェアー、ベッド、ベッドマットもメーカーにより素材も形も機能も様々で優れている部分もそれぞれに違うのはなぜか?
- 手すりの位置は利用者に対して本当にこれであっているのか?
- あっていない様ならどうするか?
など色々な部分で気になることや目に付く事が増えてきました。
また、更に興味、知識を深め自分のレベルアップにつなげるために、福祉用具の研修に参加したり、契約業者からの説明を積極的に受け、新しい福祉用具の使用方法を学んでいます。
常日頃バタバタしている現場で、どの福祉用具ならスムーズに浸透していき他のスタッフや利用者に受け入れられるかも考えています。
資格取得前までは、今までスムーズに車椅子の自走ができていた利用者の移動スピードが遅くなっても、「ADLの低下だろう、今後観察していこう」ぐらいで、そこから先へは考えがなかなか行き着きませんでした。
ですが、資格取得後は、
- 本当にADLの低下なのか?
- 車椅子と利用者のバランスはどうか?
- 本当に今の状態にあった車椅子を使用されているのか?
など細かい部分までとらえる事ができるようになり、資格取得で得た知識をどう現場に結びつけるか?を常に考える様になりました!
知識を深めると家庭内事故も防げます
介護面の知識を深めていくと家庭内事故という言葉に出くわしますが、実は老人世帯で多い家庭内事故は福祉住環境コーディネーターの知識を身につけていれば防げることができる事が結構あるのです。
例えば、窓の露。
窓を閉めようとした際に窓に体重をかけてしまったせいで、露で手を滑らせてそのまま転倒し骨折してしまった。
というような家庭内事故が起こっています。
他にも玄関の外が下りの坂道になっていて勢いに足がもつれ転倒してしまった。
という方を知っていますが両者とも手すりをつければ防げた可能性が高い事故なのです。
それができるのが福祉住環境コーディネーターという資格です!
リフォームの実例
これは私が実際に経験したことなのですが、知人の大工からの相談で、
「和室から台所に行くまでは廊下があり、和室から廊下までは段差があって、その段差が滑りやすい素材で転倒してしまったのでどうにかリフォームしたい」
という家庭があるとのことでした。
自宅を訪問してみると昔ながらの家で、廊下だけではなく浴室、部屋、居間にいたるまで沢山の段差がありました。
住んでいる方は高齢で膝が悪く段差が生活の妨げになっていたのです。
私はすぐに知人を含む3人で相談し、問題発見や解決策などを話し合いリフォームすることになりました。
まず、廊下の段差は玄関から徐々に角度をつけて解消し湿度の高い日でも滑りにくい素材を選びました。
次に、部屋、浴室、居間は区切りになって段差になっていた板を取り除き、スライド式の移動せず片手でも開閉できるドアを工夫しました。
その結果、今では生活もスムーズになり、段差が原因で転倒することもなくなったと先日知人より感謝の電話をいただきました。
そのとき感じたのですが福祉住環境コーディネーターの権限や力はまだまだでできないことが多いですが、資格を取得することで役立てることはたくさんあるということでした!