福祉住環境コーディネーターの概要

福祉住環境コーディネーター資格とは?

福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障害者の方に対して自立した生活を送れるよう、自宅などの住環境を住みやすい環境へと改善するためのアドバイスを行う専門家です。

 

より安心して自立生活を送れるようなアドバイスを行うために、住環境の知識のみならず、その人がその人らしく生活できるような住環境を提供できるように、

  • 医療
  • 福祉
  • 建築

などの幅広い分野の専門知識を身に付けている必要があります。

 

また、各分野の専門家との折衝なども必要になるため、コミュニケーション能力や企画提案力なども要求される職種とも言えます。

 

福祉分野に携わる1人の専門家

住環境の改修という技術的な方面の専門家ではありますが、福祉分野に携わる専門家として大切なのが、クライアントさんについて親身に寄り添い、その人にとって最も望ましい環境を一緒に考えていく姿勢です。

 

クライアントさんが楽をしたいからという理由で、大規模な改修を希望したとしても、福祉住環境コーディネーターは安請け合いしてはいけません。

 

なぜなら、快適すぎる環境は、その人自身の残存能力までもを奪ってしまう危険があるためです。
改修工事を行う側からすれば、大規模改修は利益が上がりやすく魅力的に写るかもしれません。

 

しかし、それでは本来の改修の目的である「その人らしい生活の継続」が叶わなくなります。
こういった面から、福祉住環境コーディネーターは高い倫理観をも要求される専門職と言えます。

 

それぞれの人に合った住環境の提案

福祉住環境コーディネーターは、規格どおりの住環境を整備すればいいと言うわけではありません。

 

住宅改修を必要とする人が、その人らしい生活を続けられるように、一人一人のニーズに合った改修計画を提案しなければなりません。

 

そのため、クライアントさんの要望を漏らさず把握し、クライアントさん本人が気付いてない生活上の危険個所やより安全・便利な住環境となるよう、専門家としての提案も積極的に行っていく必要があります。

 

この部分において、福祉住環境コーディネーターの専門家としての力量が発揮されます。

 

具体的な役割は?

医療、福祉、建築などの他分野にわたる専門知識を必要とする福祉住環境コーディネーターですが、このうちのどれか1つの分野に特化すれば良いというものでもありません。

 

もちろん、自分の得意分野があるのは望ましいことですが、1つの分野に特化してしまうことで、他の分野とのバランスが崩れ、真にクライアントさんに対する支援にならなくなる恐れがあります。

 

コーディネーターの役割とは?

 

福祉住環境コーディネーターとして要求される役割は、関係する各専門家の能力を引出し、本当にクライアントさんのためになる、自立を促せるような環境の整備を行うことです。

 

福祉住環境コーディネーターの仕事

具体的な福祉住環境コーディネーターの仕事としては、クライアントさんからの改修の要望を聞き出すことから始まります。

 

コーディネーターとしての専門知識を駆使して、そのクライアントさんが、自立した生活を安全かつ快適に続けるためにはどのような改修が必要なのかを考え、一緒に検討していきます。

 

この時、クライアント側としては、自分の身体の衰えや身体能力についての正確な認識が足りていないケースが多くあります。

 

そんなときに、コーディネーターとしては、安全の面からや、その人の残存能力をできる限り発揮しながら維持できるような、ちょうど良い負荷の環境整備を目指すことになります。

 

ただし、残存能力を活かしながらの自立を目指す場合、少しでもクライアントさんの能力を見誤ってしまうと危険が及ぶため、特に慎重に安全面について考慮しなければなりません。

 

各専門家との連携

クライアントさんの要介護度等も、改修規模の目安になります。

 

このときにはケアマネジャー等の介護の専門家に相談し、普段のクライアントさんがどのような箇所に危険や不便さを感じているかや、ケアマネジャー自身の視点から改修が必要だと感じている箇所などの聞き取りを行いま
す。

 

その後、本人とも確認をしたうえで、改修計画を作成し、建築業者へと依頼します。

 

住環境の改修中も、適切に工事が行われているか等の管理も行いますので、住環境の整備については、一貫して関わっていくことになります。

 

他分野(建設業など)との業務上の関わり

福祉住環境コーディネーターは、住宅の改修についての業務がメインの仕事です。

 

そのため、介護分野とのかかわりよりも、実際の改修工事を行う建築業者と関わる機会が多くなります

 

建築業者

 

どのように関わっていくかというと、福祉についての知識に乏しい建築業者が住環境の改修を請負うと、どうしても完成後の見栄えや工事の規模を増大させる方向に向いてしまいます。

 

これはものづくりのプロとしては仕方のないことです。
作るからには機能性と同じくらいに見栄えよく完成させたいし、大規模工事を受注して利益を上げたいと思ってしまうためです。

 

しかしこれでは、真にクライアントさんの自立支援へとは繋がりにくくなってしまいます。

 

福祉住環境コーディネーターが求められる理由

ものづくりに関しては素晴らしい技術をもっている建築業者でも、福祉住環境という特殊な形態の工事については、よくわからないというのが現実です。

 

工事を行う人は五体満足で、多少の段差や不便さについては気にならず、どうしても見栄えを気にしてしまうためです。

 

そこで、福祉住環境コーディネーターの出番です。
身体能力が衰えた方が、住環境の中のどういった箇所で危険に晒されるか、あるいは不便さを感じているかの専門家です。

 

そんな専門家の意見がものづくの現場に取り入れられることで、自由度が制限されたクライアントさんにとって、本当に住みやすく、身体の残存機能を引き出して自分らしい生活を実現できる住まいが完成するわけです。

 

どちらか片方が欠けても問題

このように、それぞれの専門家が自分の持てる知識・能力を総動員して完成させるのが福祉住環境と呼ばれるものです。

 

これはどちらか一方の視点が欠けるだけでも、不完全な住環境となってしまいます。
住環境の整備という言葉だけを見れば、工事を行う業者だけでも良さそうに感じます。

 

しかし工事を行うに当たり、完成後のコンセプトなどその住環境を主に利用する人の要望を最大限に取り入れ、クライアントさんの期待以上のものを提供するためには、福祉住環境コーディネーターはなくてはならない役割でもあるのです。

 

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