ガイドヘルパー資格の種類・受講する目的
ヘルパー2級の講座を修了した後、「これから介護業界で就職するに当たって、もっと有利になるスキル(資格)が欲しい!」と思いました。
そこで取得してみようと思ったのが移動介護従事者(ガイドヘルパー、外出介護員)です。
ガイドヘルパーは、ヘルパーが行う家での生活介助と異なり、生活範囲以外での外出をする際に移動介助を行うことができる専門の資格です。
ガイドヘルパーの種類
大きく3つの専門介助に分かれていて、
の区分があります。
資格も異なっているので、それぞれ取得が必要となります。
受講資格はホームヘルパー(介護職員初任者研修)や介護福祉士の資格を取得していることが基本ですが、地域によって資格がなくても受講出来ます。
この講座の受講生は、既に介護業界で仕事をしている人が多いのか、土曜・日曜に講座を実施している教室がほとんどで、仕事(当時は前職)を休みたくない私には受講しやすい環境でした。
(1)視覚障害
視覚障害をお持ちの方と屋外へ外出して移動介護を行う為には、「視覚障がい者同行援護従業者養成研修」と呼ばれるセミナーを受講する必要があります。
その一般課程を修了することで、「同行援護」が可能になります。
応用課程もありますが、こちらは受講資格として実務経験1年が必要になってきます。
カリキュラム
【一般課程】
- 同行援護の基礎知識
- 制度と従業者の業務
- 情報支援と提供
- 代筆、代読
【応用課程】
- 傷害、疾病の理解
- 障がい者の心理
(2)全身性障害
全身性の障害をお持ちの方と外出する為には、「全身性障がい者ガイドヘルパー養成研修」を受講する必要があります。
この研修を受けることで、大人だけでなく子供(児童)と外出しながらの介助が可能となります。
カリキュラム
- ガイドヘルパーの制度と業務
- 全身性障害者の疾病
- 障がいの理解
- 障がい者福祉の制度とサービス
- ホームヘルプサービスアイロン
- ホームヘルパーの職業倫理
- 移動介護の基礎知識
- 介護技術の基礎
- 移動介護の方法
(3)知的障害、精神障害
知的障害や精神障害をお持ちの方と外出、介助する為にも、「行動援護従業者養成研修」を受講する必要があります。
カリキュラム
- 行動援護に関わる制度とサービス
- 行動援護利用者の障がい者特性
- 技術に関する講義
- 事例検討、分析
- 高度の理解と実際
講座探しで困ったこと
いざガイドヘルパーの講座探しを始めたのですが、
- 全身性障害
- 視覚障害
は家の近くにある介護スクールで実施していることがわかりましたが、知的障害(精神障害)はそこでは実施されていませんでした。
知的障害ガイドヘルパー講座は、実施している教室自体が全国でもとても少なく、通える範囲で実施スクールを探し出すだけでも大変でした。
受講する生徒
講座の受講生はヘルパーだけでなく、
- 大学生
- 教師
- 看護師
- 介護福祉士
など、学生から国家資格を持つ、他の専門職の方々が参加されていました。
やはり、受講できるスクールが少ない為か、通学に片道2時間かけて通っている方もいました。
言い換えれば、通学に時間を費やしてでもガイドヘルパー資格取得を目指したい人が集まっていたので、皆、熱心で真面目だったと思います。
なぜガイドヘルパーを取得するの?
同期の生徒の皆さんの間では、まず挨拶代わりに「なぜガイドヘルパーの資格を取得しにきたのですか?」という質問がよくされていました。
私も他の方から話を聞いて、
- 介護業界へ就職を有利にしたいと資格の取得を目指す
- ヘルパーとして勤めていて勤務先から必要資格なので修了するように薦められた
- ご家族に移動介助が必要なので受講した
- 教え子の為
- 患者の為
など、生徒によって、色々な状況や環境が異なり驚きました。
また、移動介助を必要とする対象者が、高齢者だけでなく年齢層が幅広かったことにも驚きました。
ヘルパー資格があれば取る必要はないの?
ガイドヘルパーとしての仕事は、介護職員初任者研修(ヘルパー2級)の資格を持っていれば、別途ガイドヘルパーの資格を取る必要がないという話もあります。
実際、知的障がいや精神障がいの介助は、専門的な資格は求められてきませんでしたし、視覚・全身性の場合も必須条件ではありませんでした。
ですが、ご自身が上記の障がい者の方と外へ出かける時のことを、現実のものとして想像してみてください。
例えば、目が見えない方と外を移動する時に、
- 階段の昇り降り
- エスカレーターの乗り方、降り方
- 重たいドアを通過する時
- 雨が降ってきた時の傘のさし方
- 電車やバスの利用方法
など大量にふりかかってくる初めての体験を、多くの疑問を解決しながら乗り切ることができますか?
ほとんどの方が「自信がない」と答えると思います。
それが人の命を預かる重みを知っているということだからです。
同行者の自信の無さは、もちろん障がい者の方にも伝わります。
そこで安心感を与えられるようにする為にも、やはり研修を受ける必要があるのです。
「無資格でも可能かどうか?」というのは、非常に表面的な議論なので、そういったことをお金や時間的な損得だけで判断する方は介護業界には不向きではないかと思います。
ガイドヘルパーの呼び方
ガイドヘルパーは移動介護従事者と呼ばれたり、外出介護員と言われたりしますが、どれが正しいのでしょうか?
実は、呼称の変遷には下記の歴史があります。
- 2003年:移動介護従業者
- 2006年外出介護従業者
- 現在:移動支援従事者
とは言え、上記だとわかりづらいことも多いので、一般的にはホームヘルパーと近い名前のガイドヘルパーが定着しています。
次は「視覚障害と全身性障害ガイドヘルパー講座の同時受講」です。