資格を活かす為の実務経験、実務だけでもダメ!
介護に限らずどんな分野にも言えますが、資格に頼ってしまう働き方をすると、とても損をしてしまうことがあります。
- 資格さえ取れば給料があがるとか
- 資格さえあれば転職に有利
というような考え方をしてしまうと、実際の業務上の経験を自分の力にすることが出来なくなってしまうのです。
資格取得を目指す多くの人が難関資格を目指して努力していますが、どんなに難しい資格でも実際の業務経験無しにはなんの意味もなしません。
まさにその仕事をしても良いという「資格」に過ぎないのです。
上級資格に合格したからと言っても決して満足してはいけません!
しかし取得して満足!
という人が多すぎて、現場の取り仕切りを任せるには中身が付いてきていないことも、よく見られるのが現状です。
介護福祉士
昔は、無資格で介護の世界に飛び込んでくる人が大勢いましたから、
「ヘルパー2級を取ったら次は介護福祉士だね!」
と、介護現場の先輩から葉っぱをかけられたものです。
今はヘルパー2級ではなくなり介護職員初任者研修となり、さらには実務者研修まで間に挟まりましたが、介護福祉士が難易度の高い上級資格であること揺らいでいません。
これは、介護福祉士が国家資格であるということからも、その特別性がわかります。
厚生労働省の社会保障審議会等のワーキングチームにおいても、
「介護の仕事に就くのであれば介護福祉士は当たり前」
という考え方が発表されているくらい、介護をしているなら取得しておくべき、という考え方が広がってきています。
しかし実際はどうでしょうか?
自分の今までの経験から、介護福祉士を取得したからと言って、介護方法や仕事態度に変わりが出てきたというスタッフを、あまり見たことがありません。
国家資格ですから、取得出来れば嬉しいですよね。
でも、「介護福祉士」という国家資格を取得する為の研修なり勉強を行っているという感じがとても多いと言えます。
資格は取得する事が目的なのではなく、取得した後にその専門知識や技術を実際に活かしていくためのものです。
もちろん、取得すれば終りという風潮は介護の資格だけに限ったことではありません。
国もそれが解っており、介護福祉士を取得した後も継続して学んでいく機会を提供する必要があることを制度改正の中で明らかにしています。
例えば、介護福祉士を受講する為には介護職員実務者研修を受講しなければならない、という様に、今までの介護福祉士資格ではダメだということを、受験する資格要件から見直すという方法をとっています。
でも、現場サイドに言わせれば、
- どんなに資格を変えたって
- どんなに受験要件を厳しくしたって
結局介護スタッフは、働いている事業主の考え方次第で右にも左にも転ばなければならないのですから、あまり変わりがないのです。
ですから、介護福祉士を目指すのであれば、それはあくまで、
- 自己鍛錬の世界
- 自分自身の為に取得する
というぐらいの気持ちで受験を目指すことをお勧めします。
ケアマネージャー(介護支援専門員)を取る意味
介護の仕事は対人援助技術でもあります。
無機質な物体や感情を持たない何かを相手に労働するのではなく、
- 人間という非常に高度で
- しかも多様の個性を持ち
- 様々な生活習慣を送ってきた「人」
を援助する仕事なのです。
対人援助は、意識していないだけで誰もが行っているものです。
皆、家族同士で親切にしたり、友人の悩み相談に乗ったりしますよね。
会社では、自分が先輩なのであれば後輩にアドバイスをするでしょう。
この様に、対人援助は誰もが行えるものなのです。
しかし今は、直接的に人と関わらずに生活が送れてしまう時代ですから、もしかしたら誰もが行えるという表現は適切ではないかもしれません。
介護の対人援助
ただ、この対人援助を仕事にする場合には、少し違う観点が求められます。
思いやりや親切を示すということには変わりありません。
悩みや相談に乗るということにも、まだアドバイスをするということにも変わりがないです。
何が違うのかと言うと「情報」です。
社会福祉という仕事で対人援助を行うには、幅広い分野で確かな情報が必須です。
というのも、援助するには何かの手助けが必要です。
友達同士で相談し合う時には、お互いが、あるいは他の知り合いが、手や助けを差し伸べてくれるでしょうが、一人の人間が生活している社会の中では、お互いだけで援助が終了することはあまりないでしょう。
ですから、制度を始め、
- 地域の公的な機関
- 私的な機関
- ボランティア団体
など多種多様な援助方法を知っていなければなりません。
各援助方法には各々特徴があります
例えば、公的な機関が提供する支援は、確実性・安定性があると共に公益性があり、費用も比較的低く明確ですが柔軟性には欠けます。
これに対し私的な機関やボランティア団体などの場合は、個々に応じた柔軟な対応をしてくれやすいのですが、確実性・安定性という面では信用が薄く、対象があまり広くなく限られており、費用設定もバラバラです。
これらの特徴を踏まえた上で、何がその人を援助する為に最適なのかという情報を、適切にアドバイスしていくことが出来るのがケアマネージャーなのです。
介護保険制度は、介護保険料を納めている全ての被保険者を対象としてサービスを提供するものなので、この様な、広く深く情報を提供出来る様な対人援助の専門家が必要です。
もちろん、情報だけではありません
介護技術や介護理論においても、介護福祉士の勉強の時には学ばないこともたくさん学んでいきます。
その専門知識が無ければ、一人一人に最適なサービスを考えられないのです。
ですから、介護資格について極めたいと思ったのなら、少なくともケアマネージャーは最低目標ラインに定めると良いでしょう。
「介護資格について極める」
とは、介護の資格を全て取得する、ということではありません。
「より利用者の立場に立って、自立した生活が送れる様に、公平性をもった介護を提供することが出来る」という意味です。
介護とは「正解がない」とも言われる仕事です。
ですから、介護資格を極めて、支援するその人にとっては「正解」となる様な仕事を行いたいものです。
逆に実務経験だけでも介護業界ではやっていけない!
現場の経験がすべてという考え方も、介護業界においては危険です。
現場で長く務めており、資格など取らなくてもある程度の仕事を任されている方がおられます。
そのような方は、せっかく実力があるのに非常にもったいないことをしています。
実務経験はもちろん何にも増して重要ですが、やはり公的な期間から実力のお墨付きをもらわなければ、介護保険制度という仕組みがある以上は実力を発揮しきることができないのです。
経営側も、実力のある人を使いたいと思っています。
しかし資格が無いために責任あるポジションへ就かせることができません。
そんなことにならないように、後からでも良いので、しっかり資格の取得は済ませておきましょう!
資格+実務経験で向かうところ敵なし
資格に加えて、それを裏付ける経験があれば、名実ともに実力者として評価されます。
しかし、だからと言って油断してはいけません。
実務経験が10年近くあるにも関わらず介護職員初任者研修しかもっていなければ「この人は勉強に対して積極的ではない」という評価をされてしまうこともあるのです。
経験に対する資格は、それぞれ対応し合うレベルのものが用意されています。
自分の実力を正当に証明し、職場からもしっかり評価されるためにも、経験に見合った資格を取得できるように業務と並行して勉強も油断せずに継続していきましょう。
介護系の資格をすべて取得した後は、社会福祉士や精神保健福祉士など、さらなる難関資格もあります。
これらの資格を取得することで、自分の知識を福祉の広い範囲で満たすことが出来るようになっていきます!